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ネット&読書探索の遍歴
by kaursh
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法月綸太郎の『頼子のために』
a0024788_31517.jpg 新本格のミステリということで読み出したが、途中でやっとハードボイルド路線の作家であることがわかってきた。法月が高く評価するロスマク(ロス・マクドナルド)は読んでいないが、映画だけ観た覚えがある。ポール・ニューマンが主人公だったような気がする。事件を追及していくうちに、家庭の背後にあるくらい部分に気づくようになっていく、というものだ。『頼子』もこれと同じタイプの話。だが、新本格を想定していた私からすると、新本格からずれてしまう、その展開の意外さに興味が引かれる。これまでに法月作品で読んだのは『法月綸太郎の冒険』ぐらいのものだったので、やっとこの小説家のスタイルがわかってきた。もっとふざけたタイプの小説かと思っていたがどうも違っているらしい。前半の手記の部分で何度か停滞して、もう一度読み直し、ということを何度かしていたが、同姓同名主人公の登場するあたりからはどんどん読めるようになった。

(ネタバレ)
 頼子の教師の柊が頼子と関係を持って、更に妊娠。その発覚を恐れて殺害した、というのが最初の事件像だったが、実際には、父親が虚偽の手記を残していて、自分の犯罪行為を隠蔽するためのトリックだったというあたりがわかったときは、なるほどなるほどと唸らせるものがあった。この小説のポイントは父親と娘との関係が次第に明らかになっていく所だ。
 母親が背後で頼子や父親の行動のすべてを冷酷に見つめていたというのが、この小説のもう一つの落ちであるが、こちらは納得できなかった。いまひとつこの母親の人間像が描ききれていない気がする。しかし結末としてはこういう形が一番すっきりするのだろう。
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        by kaursh | 2004-06-12 03:16 | 国内ミステリ
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