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ネット&読書探索の遍歴
by kaursh
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佐野眞一『巨怪伝』 巨人の背後にいた巨怪
a0024788_1559.jpg 警察のトップから読売新聞社を買収して社長、そして自民党代議士でもあったという正力松太郎の生涯を扱った伝記。著者の作品では『東電OL殺人事件』でも有名だが、こちらは大正から昭和にかけての歴史も絡んだ深い話。どうだろうなあ、としばらくほっておいたが、読み始めたら最後、とにかく面白いとしかいいようがない。正力松太郎は読売新聞社の社長だったことから、おそらく多くの評論家たちが彼を正面から論じることを避けてきたのだが、策謀と欲望の中で時代を駆け抜けたその波乱の人生は格好の題材。ほとんど小説なんかが勝負にならないノンフィクションならでは愉しみに満ちている。

 まだ、途中まで読んだところだが、この作品はジェイムス・エルロイのLA三部作のように警察とやくざとマスコミの三つが混在し、第二次世界大戦をはさんで、さらにプロ野球が深く関連している。清濁あわせ飲むようなこんな物語を創作したら、たちまち時代に名前を残しそうなところ。小説ならば多数の登場人物によって描かれていたであろうものを、正力松太郎はたった一人で実際に演じてしまっていることも驚きである。特高警察のトップとして大杉栄を弾圧し、政財界とのコネクションを築いていき、読売新聞を買収、そして巨人軍の生みの親となりながら、原発の父とも称されている。その影の活動はなかなか計り知れない所があり、やたらとつつくと、日本の歴史の暗闇に直面しそうなほど。だが、そのことがさらに正力松太郎の魅力ともなっている。

 野球ファン、やくざ物のファン、昭和史好き、などなどとにかく多くの読者を獲得しないのが不思議なほど魅力的な作品。どうせだったら映画化、いや、その生涯を詳細に追いかけて欲しいので大河ドラマか何かにして欲しいぐらいである。しかし内容がきわどいだけに実現のハードルはかなり高いだろう。。

……読み進んだ所で、また紹介する予定。
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        by kaursh | 2004-07-17 01:56 | ノンフィクション
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