トップ

ネット&読書探索の遍歴
by kaursh
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28
学校占拠事件と記者毒殺未遂疑惑+シャラポワ
a0024788_8440100.jpg 北オセチア共和国での学校占拠事件はロシア軍の突入によって解決されたが、死者はすでに300人を超え、不明者も300人近く、1200人から1500人の人質の約半数が死亡したことになる。たとえ交渉が行われたとしても、ロシア政府の強行策をテロリスト側も承知していたので、多くの犠牲者を出していた可能性が高い。日本での報道では少年や少女が上半身裸の姿で水を飲んでいる様子が繰り返し流されてきたが、中東カタールのテレビ局アルジャジーラでは、もっとひどい怪我を負った被害者が運び出されてくる写真も見ることが出来る(BBCの写真とも比較してみてください)。アルジャジーラはイラク戦争の報道でも、米軍の攻撃で死亡したイラク人の遺体を多数見せる事で、アメリカの報道では隠されてしまう戦争の陰惨な事実を教えてくれてきた。(この点で、ムーアは「華氏911」でイラクの戦争被害者の衝撃映像を集めて、アメリカ国民に現状を伝えようとしたが、これはかなり近い手法である。)ところで、北オセチア共和国で事件が起こったのには理由がないわけではない。ここは周辺のイスラム教徒が多い地域と比べて、キリスト教徒が断然多い。そうしたことから、ロシア軍はチェチェン紛争のための総司令部を北オセチア共和国に設置している。

 どうしてチェチェンからテロリストが現れてきたのか、民族的背景はあるのか(真の囚人:負けないチェチェン人)、チェチェンでのロシア軍の残虐行為がどんなものであるのか、といったことはイラク戦争やパレスチナ紛争と比べても日本ではあまり報道されていない。恐ろしいことに、ロシア軍が捕らえたチェチェン人を集めて爆弾で殺しているとか、さまざまな虐待行為を繰り返している、という話もある。チェチェンの首都グロズヌイはロシアによる無差別空爆によって事実上の廃墟。チェチェンの8人に一人が殺されているというから、中には家族や友人をほとんど皆殺しにされてテロ行為に走る人々もいるのだろう。絶望した女性達が「黒い未亡人」と呼ばれるテロリストとなっている。劇場占拠事件や旅客機爆破事件では普通の人がテロリストとなっている。911の犯人グループはインテリ層が案外多いということだが、チェチェン紛争はパレスチナと同様に民間人テロリストを生み出す温床となっている。(だが、学校占拠事件を見ていると、ロシア兵も人質救出のために必死に頑張っている様子も見える…。)

 新たな情報だとロシアの公共放送は今度の事件の詳細を伝えないようにしていたということだし、これまでの報道でも、政府が人質の人数を少なめにしておくことで事件を小規模な物と見せかけようとしたなど、ロシアでの報道はコントロールされている状況にある。チェチェンとなると多くが自粛報道になっているのだろうが、それでも、ロシアの一部のジャーナリズムはチェチェン紛争の状況を伝える努力をしようとしてきた。その代表的な人物がアンナ・ポリトコフスカヤ。記者としてチェチェンに入って、その状況を最前線から伝えてきた。だが、チェチェン総合情報アンナ・ポリトコフスカヤ情報によると、その彼女が今回の学校占拠事件の現場に向かおうとしていた途中、飛行機を降りたところで体調が急変して緊急入院。毒殺されそうになったのではないか、という憶測が飛び交っている。どうせ腹痛か何かで、自分の体調管理がよくないからだろう、と軽く見る人もいるかもしれない。だが、彼女はノーバヤ・ガゼータ紙(ロシア語)の記者なのだが、この新聞の記者は過去にも数人が暗殺されてきたという背景があるのだ。旧ソ連のスパイ組織KGB以来の伝統が、ロシアには変わることなく存続している。チェチェン弾圧の功績によって大統領に就任したウラジーミル・プーチンは、共産党政権以降で、もっとも軍部に接近した政権を作り出した。彼は若い頃にKGBの諜報員として旧東ドイツで活躍し、1998年には(旧KGBの)連邦保安庁(SDF)の長官に就任。こうした経歴が現在の強力な政治体制の基盤となっている事は疑いない。

 ウィンブルドンの女子シングルで優勝したマリア・シャラポワは、全米オープンで三回戦敗退。ロシア出身の彼女は学校占拠事件での悲劇を受けて喪章を左胸に着けていた。asahi.comの記事では、「ロシアで起こったことに比べたら、わたしの負けなんて小さなこと」とコメントを残している。

[PR]
        by kaursh | 2004-09-05 09:23 | ネット情報
<< ナベツネの変質と無期限全面スト... 元司祭ニール・ホランと首謀者 >>