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ネット&読書探索の遍歴
by kaursh
2004年 07月 10日 ( 4 )
       
竹本建治の『凶区の爪』……ちと『ヒカルの碁』かな
 最年少で本因坊のタイトルを獲得した牧場智久は試合のすぐ後に、ひょんなことから山形の会場から記者の相原やカメラマン槇村、そしてカメラマンの従妹の少女武藤類子を引き連れて四条家の旧家を訪れることになる。旧家の近くにある巨大な奇岩を見物した後、牧場少年は試合の疲れから高熱で倒れてしまい意識は朦朧。その間に四条家に次々に起こる横溝正史風の血筋をめぐる家督争いと残虐な連続殺人。最初の殺人は蔵の白壁に埋め込まれた首なし死体。翌日には、また蔵の中に、狂女の面を被った長女の石蕗の死体が発見される。小説は牧場少年が不在のままに、類子がいろいろと話を聞きだすことでほとんど進行してしまう。
 だが、結末の直前に、牧場少年はようやく病気から回復して、類子から事件の経緯を聞かされ、事件の真相をつきとめることになる。

 これは軽いミステリー小説。牧場少年が囲碁棋士の夢として「僕は神様と囲碁をしてみたいな」と語るところは、人気漫画で人気アニメの『ヒカルの碁』を連想させなくもない。殺人のアイデアは綾辻行人からもらったと著者自身が明かしている。

 光文社文庫のものを私は読んだ。
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        by kaursh | 2004-07-10 14:37 | 国内ミステリ
デイ・アフター・トゥモローの原案ノンフィクション
a0024788_14524.jpg 映画の原作の他に、ストリーバーとアート・ベルの共著『来たるべき巨大スーパーストーム』というノンフィクションがある。これが映画の原案で、気候の大変動で地球が危機に陥るのではないか、ということが書かれている。それを翻訳したのが右の『デイ・アフター・トゥモロー:スーパーストーム-世界が氷に覆われる日』である。この本は二つの流れで構成されていて、一つはこれまでの歴史的記録から過去の気候大変動を探り、もう一つはそれが現実に起こったらどんなことになるのかを想定してノンフィクション風に創作されている。……この他にストリーバーだけで映画の内容を小説にした本もある。

 こういう話は1950年にイマニュエル・ヴェリコフスキーが『衝突する宇宙』ですでに書かれている。ストリーバーらはこれに少し科学的な情報や新たな歴史的所見を加えることで、本当に起こりそうだと煽り立てている。『ウルフェン』のようなSF風のヴァンパイア小説であれば、科学的な話をでっち上げて、読者をその気にさせる手法としてある程度成功している。『コミュニオン』のようなUFO話も、読者をびびらせる効果があっていい。だが、この本だと、グラハム・ハンコックのようなタイプのあやしい議論になりそうだ。まあ、それを承知でも楽しめるといえば楽しめる。

 古代遺跡の謎、氷付けのマンモス、地球の温暖化現象などを取り混ぜて、いろいろと論じつくしている所は見事なものだが、ある程度まで割り引いて読む必要がある。

 第6章「東京急襲」では、日本にスーパーストームの「マックス」が日本全土を襲う様子が描かれるのだが、この箇所の描写は迫力に欠ける。東京って、近代的なものもあれば古いものがゴチャゴチャした市街地もある場所で、案外歴史も古い、とか、富士山や与那国島沖の遺構のような不思議なものがある国でもある、なんて紹介をして、スーパー台風に襲われて大変なことに……というのが8ページほど書かれている。なかでも特にいい加減な部分。

 それにしても、今年の夏は最初からひどく暑過ぎる。これも前兆なのだろうか?スーパーストームが北極で発生して、主要都市が水没。そしてその後には厳しい氷河時代だとしたら。早い所、南への移住を考えるべきか……。
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        by kaursh | 2004-07-10 14:06 | ノンフィクション
曽我一家のチャーター便をANAが5万円で落札
a0024788_141128.jpg 朝のニュースでやっていたそうだが、私は見落としてしまった。他のブログの「The Elements of Style」を見ていて、このことを知った。小泉もこのタイミングで家族の再会をうまく設定できたことは、明日の参院選を控えてなので、なかなかのものだと考えているのではないか、と思っていた。どうせ選挙対策の一環なのだから、その費用も小泉か自民党で持ってあげればいいのにというのが私の個人的な意見だった。
 だが、平壌→ジャカルタの空の旅行の費用は競争入札で日本航空と全日空に競わせて、結果、5万円で全日空が落札。豪華な機内食も用意させながらも、国側の支払いはたったの5万円。「人道的観点と社会的位置づけから」からこうなったんだと全日空は金額の説明をしたらしい。これでは日本航空に申し訳ないということで、曽我さんの飛行機を日本航空にまかせたとのこと。こちらの費用はわからないが、まあ、同じくらいの金額なのだろうと推察する。
 公共事業の入札制度が改革されてきたが、こういう無理なサービス的な仕事を民間にさせてしまうことが、さまざまな汚職を生む元凶なのではないか、と危惧してしまう。だいたいの相場を越えないと落札できないように、国側も最初から最低落札価格を設定すべきだ。こういうお金が航空会社の負担となって、飛行機利用者に跳ね返ってくるという結果。
 どうせなら、イラクの人質事件でも入札制度を導入して、航空会社に競わせていたら面白かったかもしれない。自己責任論が噴出していたから、意外に高額なものとなって人質になった三人にはねかえっていたりして……。

 飛行機の図は全日空機だがジェンキンスらが搭乗したものではない。
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        by kaursh | 2004-07-10 12:26 | ネット情報
ブッシュ元大統領と小笠原のカニバリズム事件
a0024788_12945.jpg 秦郁彦の『昭和史の謎を追う』は昭和の奇妙な話がいろいろと紹介されていて面白い。その中でも、下巻に収録されたブッシュがらみの話は注目に値する。
 現ブッシュ大統領は親日派ではあるが、その父親となると、日本に対してあまりよくないイメージを持っていない。その理由は第二次世界大戦にまでさかのぼる。兵役を逃れるのに必至だった息子の現在の大統領であるが、父親の方はCIAの長官を務めたこともあるように、硬派な人間で第二次世界大戦にも航空兵として参加していた。その任務地が小笠原。
 小笠原の父島にいた日本軍はブッシュを驚愕させるほどにかなり凄まじい集団だった。同じ航空部隊の米兵の飛行機が不時着して、日本軍の捕虜になってしまった。父親のブッシュも同じ時期に飛行機が墜落。だが、運良くパラシュートで脱出した。そこへ日本軍も近づこうとしたが、米軍の威嚇によって難を逃れた。運良く捕虜という事態に陥らなかったから大統領になれた。ところが、つかまった方の米兵の運命は悲惨なものだった。というのも、一部の人からは捕虜の米兵は英語教師として慕われていたが、この米兵は日本軍の部隊長とその仲間によって、酒の肴としていいものがないということから、殺害され、さらに食べられてしまったのである。的場少佐が主犯だと言われている。
 戦後、この事実はアメリカの調査で明らかになり、米軍によってこのカニバリズム事件の首謀者たちは厳罰に処せられることになった。詳細は不明だが、それ相応の仕返しを受けて死亡したのだろうとのことだった。

 そんなこともあってか、父親のブッシュは日本とあまりいい相性とはいえない。(レーガンと中曽根との蜜月時代、小泉と息子ブッシュとの親密な関係とも違っている。)父親ブッシュが大統領として来日したときには、祝賀会の席で体調を崩して倒れてしまった。湾岸戦争の時には、貢献しようとしない日本の後手後手の態度が非難されることになったが、父親ブッシュの悪いイメージが災いしたのかもしれない。

 秦郁彦の『昭和史の謎を追う』はこうした話がいろいろと掲載されていて、読みがいのある本。特攻の飛行機の開発者が戦後にたどった数奇な運命など。
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        by kaursh | 2004-07-10 01:31 | ノンフィクション